2021年10月、イラストレーターの石山さやかさんのキュレーションによる展示に参加させていただきました。
『駆ける線、繁茂する色』について
この度gallery TOWEDさんにお声がけいただき、展示の企画を担当いたしました、イラストレーター・漫画家の石山と申します。自分はジャンルに関わらず展示巡りが好きで、TOWEDさんも大好きなギャラリー(そもそも運営の内田さん、船戸さんががやっている『春のカド』が大好き)の一つです。
どんな展示にしようと考えたとき、はじめに「人物画」というキーワードが浮かびました。TOWEDはどちらかというと抽象画など人物主体でない作品を多く扱うイメージで、一方自分は(職業柄もあり)人物の入った絵を普段見ることが多いです。TOWEDで人物画中心の展示を行うことで、いつもと違う雰囲気が出せるかなと思いました。
また自分はドローイングが好きです。下書きを重ねた緊張感のある線もいいですが、勢いで計算なしにびゅっと引かれた線に特に惹かれます。そういうわけで自分が思うドローイングが好きな作家さん3人にお声がけして「モチーフに縛りはないので、今回はドローイング作品でお願いします」とお願いしました。はじめに「人物画」と書きましたが、選んだ3人は「人物」それ自体を精緻に描くことに重きを置いているわけではないと自分は思っています。3人とも「人物」というフィルターを通して、感情だったり思い出だったり、容易には目に見えないものを掬い取ろうとする気構えのある人たちだと思っています。色鉛筆をメインに、少し乾いたような、物語性のある世界を描く會本久美子さん。
色彩豊かに、静かだったり激しかったり様々な感情を抱えた女性を描く藤川さきさん。
そして草いきれと体温を感じさせる、湿度のある情景を描くみなはむさん。それぞれしっかりと作風を持ち活躍している3人ですが、フィールドは少しずつ異なります。その三者のドローイングを並べることで、共通項や違い、全体に流れるしなやかで瑞々しい空気を感じてもらえたらと思います。
石山さやかさんより
石山さやか
1981年 埼玉県生まれ
イラストレーター・漫画家
著書に『サザンウィンドウ・サザンドア』(祥伝社)、『しんゆうだけどだいきらい』(岩崎書店)がある。
リンク:https://www.instagram.com/ishiyama_sayaka/